2022年(令和4年)4月1日より中小企業も職場におけるパワーハラスメント防止措置が義務化されました(大企業は2020年(令和2年)6月1日より義務化。改正労働施策総合推進法)
我が国におけるハラスメント防止措置が事業主に義務化されているのは、セクハラ、マタハラ(妊娠・出産等に関するハラスメント)、職場におけるパワハラの3つですが、職場においてはざまざなハラスメントの問題が存在します。ハラスメント行為は、働く人の個人としての尊厳を不当に傷つける社会的に許されない行為です。また、企業にとっても社会的信用を失うことになり、経営上のリスクとなり得る問題です。
ハラスメントの無い、働きやすい職場環境にしていくためには、この3つのハラスメントに限定せずに、一人一人の人格を尊重した風通しの良い組織造りが大切になります。
ハラスメントを防止するために講ずべき措置は大まかに4つあります。(マタハラのみの措置を加えると5つになります)
■ 事業主の方針等の明確化および周知・啓発
■ 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
■ 職場におけるハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
■ 併せて講ずべき措置
(マタハラのみ)
■ 職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置
措置の詳しい内容は以下の通りです。
令和2年厚生労働省の「職場のハラスメントに関する実態調査」
相談窓口(苦情相談を含む)の設置状況(全体)は以下の通りです。
「社内のみに設置している」が63.8%
「社内と社外の両方に設置している」が33.3%
「社外のみに設置している」が2.9%
この実態調査によると、規模の大きい企業ほど「社内と社外の両方に相談窓口を設置」している割合が高い結果でもあり、中小企業の従業員は社内以外に相談窓口が無いことが殆どである。
上記の実態調査結果は、中小企業に従業員はハラスメントを受けた場合に社内に相談するしかないことが伺えます。しかしながら、中小企業の従業員が経営者や上司からハラスメントを受けた場合、果たして社内の相談窓口は機能するのでしょうか?
その答えは残念ながら「ノー」だと言わざるを得ません。同じ実態調査の結果からは、大企業はハラスメント相談件数は増加している一方で、99人以下の中小企業は殆ど増加していない、若しくは相談が無いことから、従業員からする「相談しても無駄だから相談に来ない」といった諦めの心境があるのかも知れません。(勿論、中小企業=少人数ならではのきめ細かな人間関係を構築してハラスメントが無い職場も相当数存在すると思います)
*補足:なお、下記の調査結果はパワハラに関する相談件数の推移ですが、セクハラも同様の傾向にあります。
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