ご紹介する裁判例は人員数名の放課後等デイサービスで起こった事件です。労働問題が裁判まで発展するのは、決して大企業だけではありません。
また、この裁判例の重要ポイントは、入社時に求人と相違する「労働条件通知書」に署名押印した効力を否定されたことにあると考えます。求人内容の重要さをこの事件から学びたいと考えます。
ここ数年、労使トラブルは急増しています。
企業のリストラによる退職勧奨や処遇の悪化などが主な原因として挙げられますが、紛争の言い分をよくよく分析すると、「最初と話が違う(正社員で採用と聞いていたら契約社員だった、部長待遇で入社したのに半年で給料を下げられたetc)」といった言い分がよく聞かれます。
また、日本の企業全体で非正規従業員のウエートが随分と高くなりました。企業が非正規従業員を増やした理由は
などが考えられます。
このことは、働く側にとって処遇の低下を意味しますから、当然のことながら、その処遇のあり方をめぐりトラブルも生じかねません。
これらの原因は、採用時点(もしくは求人時点まで遡る)での労働契約の内容が曖昧だったために起こっているものが大半です。
特に労働契約書を交わすことで果たせる義務があります。
会社には、雇い入れる従業員に対して、労働条件を書面にして渡す法律上の義務があります。
これは労働基準法第15条「労働条件明示義務」というものですが、労働契約書を文書で交わすことで、この明示義務も同時に果たしてしまうことができます。
したがって、正社員だけでなく、パートやアルバイトなどの短期雇用の場合であっても、面倒がらずに労働契約書を文書で交わすようにすることをおすすめします。
特に就業規則の作成義務のない、従業員10名未満の会社では、何か問題が起きたときの拠り所が労働契約書しかない、ということになりますので、その重要性はより大きいといえます。
「小さい会社ほど労働契約書が大事」だと考えております。
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